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MANGA in France

マンガにみる日仏表現の違い in クレヨンしんちゃん第二弾


大きい方が日本のコミック、
小さい方が仏語版コミック

前回に引き続き、今回は「クレヨンしんちゃん」の2巻をもとに、日仏の表現の違いについて紹介していきたいと思います。

1.日曜日、しんちゃんの世話をすることになった父・ひろし。公園でボール遊びをすることに。最初は下手だったしんちゃんですが、投げ方を教えるとみるみる上達していきました。

(日)ひろし:「こいつ(しんのすけ)には野球の才能があるかも・・・。よーし、おれは星一徹になるぞ

日本人なら誰でもこの時、頭の中に「巨人の星」のテーマソングが流れくるところです。しかし野球というスポーツが全く盛んでないここフランスでは、

(仏)ひろし:「こいつにはバスケットボールの才能があるかも・・・。よーし、おれはしんのすけのコーチになって、こいつをチャンピオンにするぞ」

と、野球がバスケットに。やはり星一徹はフランス人は伝わらないとの配慮でしょう。ここで、フランスにバスケをテーマにした名作マンガでもあればそのコーチの名前が入る所なのでしょうが・・・。

2.風間くんの英語の塾に勝手について行ったしんちゃん。そこはマックス赤石の英語塾・・・

(日)マックス赤石(しんちゃんに向かって):「君は英語好きかい?」
   しんちゃん:「えーごって?イチゴなら好き」
   マックス赤石:「英語っていうのはね、外国の言葉で国際的にも共通し・・・」
   しんちゃん:「イチゴに牛乳とおサトウ入れて食べるとおいしいよ」

ここでは、「えいご」と「いちご」をかけた、しんちゃん独特のギャグ(?)が展開されていますが、この部分の仏語訳を見てみると、

(仏)マックス赤石:「君は英語は好きかい?」
   しんちゃん:「えーごって?イセエビなら好き」
   マックス赤石:「英語っていうのはね、国際的な言葉で・・・」
   しんちゃん:「でも、うちの母ちゃんは買ってくれないの、ケチだから」

と、なぜか「イチゴ」が「イセエビ」に。というのも、「英語」は仏語で「ラングレL'ANGLAIS」、そして「イチゴ」は「フレーズFRAISE」。言葉の響きが全く違う為、これでは「英語」と「イチゴ」をかけることはできません。そこで「イチゴ」の代わりに使われたのが「イセエビ」なのです。仏語で「イセエビ」は「ラングストLANGOUSTE」。英語の「ラングレ」とイセエビの「ラングスト」をかけたわけですね。

3.大晦日。家族でお正月の買い出しに出掛ける野原一家。しかし、「お正月」というものが存在しないフランス。ここはクリスマス前日となっています。買い出し先のデパートはすごい人込み。しんちゃん、迷子になったらどうするの?

(日)みさえ:「お店の人に住所と名前言うんでしょ!! ハイ言ってごらん!!」
   しんちゃん:「東京の加瀬大周です!」
   みさえ:「この暮れの忙しい時にふざけてんじゃねえよ」
   しんちゃん:「春日部の野原しんのすけです(汗)」

(仏)みさえ:「お店の人に住所と名前言うんでしょ!! ハイ言ってごらん!!」
   しんちゃん:「こんにちは、アラン・ドロンです!」
   みさえ:「ママを怒らせて遊んでるわけ?」
   しんちゃん:「野原しんちゃん、近くに住んでます(汗)」

近くに住んでますって・・・かなりアバウトです。。フランスのしんちゃんは一体どこに住んでるのでしょうか・・・。

4.大晦日の買い物は順調に進んでいきます。

(日)みさえ:「年越しそばに、だて巻と・・・コレと・・・・」
   ひろし:「酒のつまみにアレとコレと」
   しんちゃん:「かまぼこ買った?」

フランスでも、クリスマスの買い出しは順調です。

(仏)みさえ:「フォアグラに、スモークサーモンと・・・」
   ひろし:「ピーナッツとアレとコレと・・・」
   しんちゃん:「七面鳥買った?」

クリスマスといえば、野原家もやっぱり七面鳥!

5.さて年も明けた元旦の朝。お正月の朝はやっぱりこれ。

(日)みさえ:「おぞう煮できたわよー」
    ―「おぞう煮」と聞いて、「
ゾウ」がグツグツ煮えてる姿を想像したしんちゃん―
   しんちゃん:「ぞうさんどこ?ぞうさん!」
   みさえ:「おバカね、ぞうじゃなくて、おモチが入ってるだけよ(笑)」

ここでも、簡単な言葉遊び(ギャグ)が展開されていますが、これを仏語に訳すとどうなるでしょうか?

(仏)みさえ:「子供たち、いらっしゃい、用意ができたわよー」
   しんちゃん:「鬼ババ、ぞうさん殺したの?!」
   みさえ:「おバカね、ママの言ったこと聞き間違えたのね」

と、訳だけみると、「おぞう煮」という言葉も出てこないし、ちっともギャグになっていません。が、実は仏語では「子供たち」と「ぞう」がかけられています。仏語で「子供たち」は「ENFANTSアンファン」、「ぞう」は「ELEPHANTエレファン」。上記仏語の、みさえの台詞を仏語の原文で書くと、

(仏語)みさえ:「ALLEZ LES ENFANTS, C'EST PRET. アレ・レ・ザンファン、セ・プレ」(子供たち、いらっしゃい、用意ができたわよ)

となります。ここでの「子供たち」は、しんちゃんと父・ひろしのことを指していると推測されます(まだ妹・ひまわりは生まれていない為)。ここで、きっと翻訳する人が一瞬考えさせられただろう、と思われるところ、それは、しんちゃんが想像した、「ぞうがグツグツ煮えてる」姿がコマの中に描かれているところ。もしこの絵がなければ、無理矢理「ぞう」を文中に入れて、このちょっと強引なギャグにする必要ははなかったはずですが、この絵があるため、どうしてもしんちゃんに「ゾウが煮えてる」と思わせる必要があったのでしょう。ギャグの翻訳は難しい!

6.さて、しんちゃんがおぞう煮のおモチを食べようとすると、おモチはのびにのびて・・・

(日)しんちゃん(箸でおモチをひっぱって):「おぞう煮はよくのびるから、ぞうさんのおハナみたい!」

しんちゃん、「いい感性してる」(と思った母・みさえ)。日本でよくのびるのがお餅なら、フランスでよくのびるのはこれしかない!

(仏)しんちゃん:「見て!チーズのエッフェル塔!」

しんちゃん、いい感性してるね!

 

 さて、しんちゃん第二弾はいかがでしたか?次は擬音語の比較を検討中。乞うご期待です。

 

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