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フランスのコスプレ事情

 コスプレ、コスプレイヤーとは
 コスプレとは、日本のコミック、アニメ、ゲーム、Jポップ(ジャパンポップス)などのキャラクターと同じ衣装を着け楽しむこと(マンガ関連のイベントに参加したりする)で、コスプレをする人達をコスプレイヤーと呼ぶ。コスプレも、その呼び方もそのまま日本から輸入されている。コスプレイヤーはマンガイベントの会場内で行われるコスプレコンクールへの参加やカラオケ大会(これもそのままの呼び方で定着している)、会場内をコスプレの衣装で散策、コスプレ仲間との談笑、写真撮り、買い物を楽しむ。
 複数のイベンター、専門誌、コスプレイヤーなどへのインタビューから推測すると、フランス全土で約500名のコスプレイヤーがマンガ関連のイベントに参加している(全欧州では約2000人)。年齢的には19〜22歳を核に16歳〜25歳ほどの年齢層であり、男女比は、男性20%、女性80%で比較的男性コスプレイヤーの年齢層は上の傾向である (4回の大型イベント会場での目視比率)。
 フランスに於いては1998年頃から大きく増えており(それまでは全土でも50〜60人程度)、現在では年齢層も幅が広がり、家族や子供達だけのコスプレイヤー(世話人は団体の親)、又40〜50歳代のコスプレイヤーもちらほら見受けられる。
 現在、主だったフランス地方都市でもマンガイベントが行われ始めている(参加者数500〜1500人規模。主催は地元のマンガ同好会)。リヨン、マルセイユ、トゥーロン、ニース、ナンシー、ストラスブルグ、レンヌ等がそれである。コスプレイヤーが増えた主要因はこのイベント開催の増加と思われる。その中でも最大の規模が毎年、パリで行われているJAPAN EXPO(参加者数4万人)であり、そこにはフランス全土からだけではなく、イタリア、ベルギー、スイス、ドイツなどからの参加者も徐々に増えている。EJCの調査ではJAPAN EXPOが欧州最大規模と言えるだろう。

 コスプレの対象キャラクターは
 テレビアニメ、日本語オリジナルコミック、フランス語翻訳版コミックと、フランスの社会に確実に「日本」を身近に感じられるMANGAが浸透する中、コア的ファンが育っている。彼らがインターネットやパリの日本書店でコミック、アニメ、ゲーム、Jポップ情報を得、それが形になったものがコスプレである。そのため、情報が得やすい大都市からコスプレが発生している。
 このような経過のため、現在の処、コスプレの対象となるのは日本のキャラクターが殆どである。ディズニー(白雪姫など)やアメコミ(スパイダーマンなど)、欧米の映画のコスプレも僅かにいるが、「日本のMANGAやゲーム、Jポップは教育的な匂いがせず、アウトサイダー的で、現実から完全に遊離した世界が気に入っている」との意見が圧倒的に多い。コスプレの醍醐味は、日常の自分からできるだけ遠い異次元の世界に行ける、と感じられることがファン心理のようだ。従って、B.D.(ベーデー、フランス・ベルギーのコミック)の世界は現実に近すぎ、コスプレの対象にはなりえない。
 コスプレの分野別ではコミック・アニメ系が70%、ゲーム系が25%、Jポップ系が5%。コスプレで多く見かけるのは、コミック・アニメ関連ではドラゴンボール、セーラームーン、ちょびっツなど。ゲーム関係ではファイナルファンタジー、ストリートファイターなどが多い。Jポップ関係ではマリスミゼル、X-japan、モーニング娘。などが見られる。

 日仏コスプレイヤーの意識と環境の違い
 フランスに限らずEU全体に言える事だが、宗教関係や地元の祭りで子供の頃から学校や公共の場でのデギゼ(仏語で「仮装や化粧をする」の意)に慣れ親しんでいる。伝承的な神や悪魔、妖精などの代わりにMANGAのキャラクターにデギゼするとの意識のため、実は、特別な「おたく」行為ではなく、皆で一緒に楽しむという意識が底辺にある。
 日本とフランス(EU全域を含む)の表象的なコスプレイヤーの大きな違いは、日本では「決め型」の静止ポーズをとってのカメラ撮影が主な表現だが、フランスでは動きを伴うコンクールやカラオケ大会が主な表現方法である。カラオケ大会(オリジナルの日本語で歌うと会場は大いに盛り上がる)や扮するキャラクターの象徴的動作、寸劇などをして競い合う。因みにカラオケでよく歌われるのは、キャッツアイ、宇宙戦艦ヤマト、エヴァンゲリオン、ドラゴンボール、モーニング娘。など。
 コスプレ衣装店は欧州ではまだ一軒もなく、全てのコスプレイヤーは、自分で布地やアクセサリーを選び、購入し、裁縫をしてコスプレ衣装を作っている。

 フランスのコスプレイヤーの対日本文化感
 扮するキャラクターを決める主な理由は、「衣装の好み、キャラクターの性格」が多いが、2〜3年のコスプレ歴を経ると徐々にそのキャラクターの文化的背景やその時代の環境を知りたくなり、段々と日本文化、歴史、生活に興味を持ちだす傾向が見られる。 また、実際の若い日本人の日常生活形態にも大変興味をもっており、東京の渋谷、原宿、新宿などの街の様子や、そこでの生活環境などがフランスのMANGA関連専門誌でも頻繁に紹介されている。「かわいい」「コギャル」などの言葉もそのまま紹介され、その使い方や意味する物も丁寧に解説されている。これらは、日本のマンガを通じた異質の文化紹介であり、底流には軽い憧れの匂いがする。この流れの牽引役を実はコスプレが担っているのだ。

 フランスのコスプレイヤーの平均像
 EJCでの60名への聞き取り調査によるコスプレイヤー平均的イメージは
・1着の衣装関係にかける経費:120 EURO(約15000円)
・保有している衣装数:5〜6着
・コスプレ歴:2〜3年
・コスプレネームを付けている人:80% 
・コスプレをする意味は:趣味・レジャー
・コスプレを始めたきっかけ:子供の頃から仮装が好き。会場でコスプレイヤーを見て。
・コスプレをやってよかったこと:友達が増えた。メディアに取材された。人見知りの性格が治った。夢の世界がもてる。
・コスプレをやって嫌だったこと:コンクールで優劣を決められること。コスプレ自体をからかわれた。
・日本のイメージ:桜、黒髪、切れ長の目、忙しそうな仕事、絹の着物など。
・日本に行くとしたら何をしたいか:街並みを見たい。日本文化を肌で感じ吸収したい。露天風呂に入りたい。着物を着たい。面白い便利商品を買いたい、など。

 コスプレイヤーの日本への想い
 コスプレイヤーの日本へ行きたいとの希望者は多い。雑誌やインターネットでの情報では満足せず、自分の肌で感じたいとの希望である。
 参考までに、当EJCで2004年2月に日本行きのマンガツアー企画をしている。ツアー費用は990ユーロ(約12万円)で、パリ〜東京の往復航空券と6泊のホテル込みの格安料金(滞在期間の延長希望が多いため延泊可能という条件)(*2004年2月21〜27日決行。25名の参加者確定)。この企画実行で判ったことは、
@ マンガファンがツアー参加に出せる費用は10万円強が限度であること(若年層が殆どで収入が高くないため)。
A 日本に行って文化や暮らしに直接接したいとの希望はあるが、実際的な日本の情報を殆ど持っていない。(パリをはじめ欧州各国での入手は難しい。特にマンガファン層市場への日本の情報発信は無いに等しい)
具体的に感じた事は、黄熱病の注射は不要か?どれくらいの飛行時間?通貨単位は? などと、行く事を切望している対象の国で、しかも生活習慣を詳しく知っている事(マンガやアニメ、欧州のマンガ専門誌からの知識が殆ど)に照らし合わせると、現実的な知識がすっぽりと抜けている。
B 特にフランス人は、自国に来る外国人はフランス語を喋るのが当然と考える傾向があるが、海外ではフランス語が通じないと異常に意識しており、個人の好みを主張する割には、日本ではフランス語での現地サポートを強く必要としている。

フランスのMANGAフアンを日本へ呼び込むには
 基本条件は低価格料金、仏語でのサポート、滞在期間は10日前後。付帯条件として、日本のファンとの交流、マンガ関連商品のショッピング案内。2〜3度のツアー実施と、彼らの仲間の滞日情報の公開や滞日風景の掲示をすることによって「自分」と「日本」の距離感が仲間の写真や情報から、現実の渡日感に巧くスライドすると思われる。
 所謂、生け花、歌舞伎、古都といった古典的日本マニアでもない、全く新しい日本観光の市場がマンガによって創造される可能性は高く、憧れの地「日本に行きたい」との希望があることは疑いの余地はない。また、この市場はマンガやアニメ、ゲームの伸びに伴って現在も伸び続けている。更に、渡日体験者の増加がEUでのマンガ市場の伸びにも還元されるものと考えている。

Ken

 

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